ホログラムを再生してみよう

ホログラムの再生原理

いよいよホログラム再生の原理。前回の作成の原理とセットで読むと、感覚的にわかると思います。

1.回折

防波堤に、波がぶつかっています。

防波堤には、船が入れるようにすきまがあります。

さて、波はどう進むでしょうか。

次の2つから選んでください。

正解は2です。

防波堤を通り過ぎると、波は、どんどん広がって進みます。

波は、スリットを通るとき、広がって進む性質があります。

レーザーから出た光も、波の性質をもっています。

ということは、スリットにぶつかると、左図のようにまっすぐ進まないということです。

レーザー光のように、波がきれいにそろっていると、スリット部分で、光が分かれて進みます。

このように、スリットを通過して進む向きを変えることを「回折」(かいせつ)といいます。

どうしてかというと、ちょっと難しい。光の波の性質です。

(この図はイメージです)

このことを、もう少し正確に書くと、左図ではスリットが2つしか書いてないけど、スリットが等間隔でたくさんあると思って欲しい。

その状態だと、左図のように、光の進む向きが分かれて進む性質があります。隣通しのスリットを通過した光の波が重なって、特定の向きの波が強くなるためです。

最初のレーザー光と同じ向きに進む光を、0次回折光といいます。その上下にできる別の向きに進む光を、1次回折光といいます。

図では省略していますが、さらに、その上下にもできています。

この向きは、光の波長とスリットの間隔で決まってきます。

このあたりは難しいので詳しく知りたい人は専門書をどうぞ。数式でいっぱい説明してくれます。

ホログラムは、青で書いた、1次回折光を利用しています。

黒いスリットがホログラムだとすると、正面から進んできているように見えますよね。

2.フレネルホログラムの再生

もう一度、フレネルホログラムの作成を見てみよう。

丸いのが物体の一点から出た光(物体光)。

並行なのが、参照光。

2つのレーザー光(波)がぶつかって干渉する。

青い部分に感光材料を置いて露光します。

これを現像すると、干渉縞ができています。

これが、ホログラム。

できたホログラムを拡大すると、干渉縞しかありません。

縞々だらけ。

ところで、この縞って、回折のところで説明した、
すきま=スリット
そのものじゃない!

そうなんです。では、このスリット(ホログラム)にレーザー光をあててみましょう。

ホログラムの細かいスリットにあたったレーザー光から、回折光が発生します。

実際はたくさんの回折光が出るけど、左図では0次回折光と、上で説明した青の1次回折光を書いています。

これ以外の回折光は目立たないので、実質、この2つだと思ってもいいよ。

何だかみたことのある円が発生しているね。

この円はいったい何か。

左図をよーく見て欲しい。

この円は、被写体の一点から飛び出た光とまったく同じじゃないか。

そうなんです。完全に同じ光を再現しています。

説明では、簡単にするために、被写体の一点から飛び出た光だけを使いました。

実際は、左図のように、被写体の無数の点から光が飛び出ています。

この無数の点から飛び出た光が、すべて、ひとつ残らず、参照光と干渉して、干渉縞を作ります。

だから、すごく複雑な縞になるよ。

それを再生すると、完全に被写体があった時と同じ光を再現します。だから、ホログラムは完全な立体画像なんです。

感覚的に、何となくわかったと思います。えっ、難しいって?何度も何度も図と説明を読んで下さいね。

それから、数式を使った難しい理論は別の本などで勉強してください。

次回からは、ホログラムの実際の作り方を簡単に説明する予定です。

初めて書いた日 2004年11月24日

内容を修正した日 2010年2月9日

著作権は有限会社アートナウにありますので、勝手に転載しないで下さい。


前に戻る  次へ進む  講座の目次に戻る