電磁波が健康に及ぼす影響について

元青森職業能力開発短期大学校 情報技術科勤務 佐藤秀隆
当電子掲示板に寄せられたユーザーからの質問に対する回答集です。
電磁波に関する質問と回答(1) 電磁波に関する質問と回答(2)
電磁波に関する質問と回答(3) 電磁波に関する質問と回答(4)
電磁波に関する質問と回答(5) 電磁波に関する質問と回答(6)
電磁波から逃れることができるか? (電磁波は地球上や宇宙空間にも)
電磁波と健康に関する「電磁波関連リンク」を最下段に掲載しました
超低周波電磁界はガンを引き起こすか? (WHO 資料 No.263 から引用)
携帯電話が発する電磁波 〜発がん確認できず〜(国際がん研究機関)
電磁波は諸悪の根源なのか? 人体保護のあり方 電磁防護指針
携帯電話の通話心得について! 私の考え & まとめ VDTに関して
佐藤研究室の電磁波測定器の一部 アマチュア無線の実情 施行規則21条の3
電波防護指針値 P H Sについて
携帯電話の短期ばく露 電磁波リスク3倍に?
モバイル通信へ 趣味のアマチュア無線
イリジウム衛星電話 佐藤研究室のTOPへ
電磁波の生体影響 関係資料 当電子掲示板にBEMSJさんが投稿した資料を転載したページです
最新の電磁波・電磁場情報へ BEMSJさんより提供された最新の情報を掲載しました
BEMSJの「電磁波(電磁界)の健康影響」講座 アドバイスをいただいているBEMSJさんのホームページへ
●1997年1月、青森県の地方紙に、
「電磁波浴びれば免疫力低下」「がん誘発の可能性も」
「国、ようやく対策に本腰」
★「労働省産業医学総研実験防護指針作成へ」
と言う記事が掲載された。
 記事の概要は、高圧線や一般の家電製品から出る極低周波(周波数:50Hz)の電磁波に人の末梢血リンパ球をさらしたところ、癌などの腫瘍細胞に対する攻撃機能を強める性質を持つ蛋白質「TNF−α」の生産量が落ち込み、免疫機能がかなり低下する5日までに、労働省産業医学総合研究所(川崎市)の城内博主任研究官らの実験で分かった。とのショッキングな内容であった。
【上記の記事に関して】
 この件に関して、ユーザーからの指摘がありました。 労働省産業医学総合研究所のホームページに、この記事の原文が掲載されていて、この内容の後に、まだ解説文があり、新聞掲載の内容のように「ショッキング」なものと(ニュアンス)が相違しているとのことで筆者も確認したところ、指摘の通りの内容であったので、公平な判断をしていただくためにもリンク先を掲載します。
厚生労働省の独立行政法人 産業医学総合研究所の研究情報ページに研究トピックス(産医研ニュースより)の項目があり、その中に「電磁場の生体影響に関する研究」が掲載されている。このページの最後のところに「超低周波磁場がヒトの抹消血単核細胞に与える影響」が記載されておりますので、参考にしてください。 June,3,2003.
独立行政法人 産業安全研究所 と 独立行政法人 産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって統合し、「独立行政法人 労働安全衛生総合研究所」となってスタートしました。統合によるためか、上述の情報は検索できなくなっている。 Nov.30,2006.
 このような記事が掲載される背景には、パソコンやワープロ、携帯電話、PHS、コードレステレホンなどの家電製品が急速に普及し、これらの電子機器から放射される電磁波が人体の健康にどのような影響があるかを調査せざるを得なくなった事があるものと考えられる。

 また、携帯電話やPHSなどから発射される電磁波が病院の医療機器に電波障害による誤動作を与えるため、病棟内での携帯電話の使用を禁止しているし、心臓のペースメーカー等にも悪い影響を与えると言うことも分かっているため、至近距離で電波の発射できる無線機器の運用も制限されている状況にある。このようなことからも、「人体への影響は?」と考えることになるのは当然の成り行きではないだろうか。

 ただ、電磁波が健康に及ぼす影響をめぐっては、欧州諸国が既に一般人を対象にした防護指針を作り、米国は大掛かりな調査研究を実施中。全米科学アカデミーの研究評議会は10月「癌などの健康被害に結びつく因果関係は確認できなかった」とする報告書を発表している。(東奥日報による)このように、因果関係は、まだ、はっきりと確認されたものではないが、影響があるとも無いとも「玉虫色」の状態にあることだけは間違いない。
【筆者注釈】
★因果関係が無いということであるが、外国では「電磁波に関する防護指針」、日本では「電波防護標準規格」がある。人体に影響が無いようにするために決められた「指針や規格」ではないだろうか?。逆に考えると「少なからず影響があるから」防護指針を作成しているのではないかと思っている。しかし、通信総合研究所の電磁環境のページからダウンロードした、電波防護指針(抜粋)」の第3章の「3.1.1防護指針の基礎とする電磁界の生体作用」の部分の一部を引用すると、以下のようになっている。
 この生体作用のうち、熱作用及び刺激作用については、多くの研究の蓄積があり、電磁界強度との因果関係がほぼ定量的に把握されている。それらによれば、100KHz を境界領域として刺激作用は低周波領域において、熱作用は高周波領域において支配的である。しかし、熱作用、刺激作用以外のその他の作用については、生体内の現象と関連した状態で確認されたものではなく、人の健康に支障を及ぼすという事実も示されていない。 このため電波防護指針において対象とする電磁界の生体作用は、熱作用、刺激作用に限定した。

 この中には、熱作用及び刺激作用の範疇で捉えられる電磁界から生体が直接に受ける作用でパルス波や変調波などの作用が含まれている。また、電磁界から直接受ける作用ではないが、電磁界が原因となって生ずる接触電流についても考慮した。なお、諸外国でも同様な考え方に基づいて電波防護指針を定めているが、それらの指針の範囲内において、熱作用、刺激作用はもとより、その他の作用についても、好ましくない影響が生じたという事実は、現在まで示されていない。
また、電波防護指針の第1章の 目的と範囲の最後の行には、
「ここで提示する電波防護指針は、現時点において専門家が共通の認識に達している事項に基づいて記述しているが、暫定的な性格も有している。したがって、今後、この分野における調査研究が進展し、科学的に裏付けされた根拠や新しい考え方等が示された場合には、社会における電波利用の状況などに応じて本防護指針の内容を改める必要がある。」と記載されている。
★1998年3月31日のNHKのラジオのニュースで【民間が決めた「電波防護標準規格」を政府レベルの規格に格上げすることを決めた。そのために、郵政省は関係法令を改正する方向で準備を始めた。】と放送していた。現在のところ、「民間の規格で十分なのでそのまま政府の規格に引き継ぐこととしている」とも報じていた。
電波防護指針値電波防護指針の運用をガイドライン方式から強制規格に
携帯電話の短期ばく露では脳に影響を与えず from JARL NEWS( Nov.1998.)
電磁波リスク3倍に?・携帯電話のイヤホン使用時 英紙(時事通信)
郵政省が電波利用における人体保護のあり方を諮問
●1997年1月15日付、日本アマチュア無線連盟(JARL:Japan Amateur Radio League)が発行した「JARL EXPRESS 第224号」にも興味のある記事が掲載されていた。
 郵政省では、携帯電話やPHSに代表される移動体通信の急速な普及に伴い、無線局から発射される電波が人体に与える影響に関して国民の関心が高まっているなか、これら電波の利用に対する疑問や不安に適切に応えるための指針を策定するため、11月25日、電気通信技術審議会(会長 西澤 潤一 前東北大学総長)に対し、諮問をした。 同審議会においては、「生体電磁環境委員会」を設置し、以下の事項について審議を行うこととしている。

1.携帯電話端末など身体の極めて近くで使用される機器に関して適用される、
  より具体的な指針の明確化
2.今後の電波防護指針の取扱い
3.新たな無線通信システム等が人体に与える影響についての研究項目の検討など


 この審議は本年3月を目途に答申を得る予定で、利用者の立場に立った指針の策定等により不安や誤解を解消し、安心して電波を利用できる環境の整備促進が期待される。

【参考】 電波の人体への影響に関しては、平成2年(1990年)6月に電気通信技術審議会から「電波利用における人体の防護指針(諮問第38号)」の答申を受け、この答申に基づき平成5年(1993年)9月、(財)電波システム開発センター(現:電波産業会)で「電波防護標準規格」が策定され、各方面で活用されている。
【連絡先:電気通信局電波部監視監理課技術管理室:電話:03-3504-4900】
(注)2001年1月6日 省庁再編成により、郵政省は「総務省」となり、各地方電気通信監理局は、
各地方総合通信局と改組されました。東北電気通信監理局は東北総合通信局のようにです。
【 以下、青短BBSより、加筆転載 】
●Subject: 電磁波が人体に及ぼす影響について。1995/11 from AOTAN001 H.Sato
 どういう因果か「青短BBS」の3番ボード「企業向け技術情報&技術相談」に筆者が1995年の11月に掲載した「電磁波が人体に及ぼす影響」と言うメッセージがあったので転載し、上記の引用記事と比較検討してみたい。
「電磁波が人体に及ぼす影響」については、昔から問題視されて色々な方面で研究されている。中波帯や短波帯に置いては1kW程度の送信装置であれば、静電界が距離の3乗、誘導電磁界は距離の2乗に反比例して減衰するため、送信装置や給電線系から、2メートルも離れれば人体に対する影響は少ないと言われている。だだし、3kWー10kW程度になると距離にもよるがオゾン(イオン)が発生し、酸っぱい臭いがすると共に吐き気を感じる事から、何らかの影響があるものと思われる。私も船舶の無線室(400kHzー22MHz)で10年間勤務し、2kWの送信機の裸給電線(銅パイプ)から2メートル程度の距離で働いて来たが、電信での通信であるから、連続した搬送波(電波)ではないため、この程度では問題が無いと先輩(通信長)から聞いた。
【参考】
マクスウェルの電磁方程式が電波の放射に関する理論方程式となっている。
微小ダイポールアンテナで振動する電磁界には、距離 R に対して、
(1)放射電磁界は R に反比例して減衰する
(2)誘導電磁界は R2 に反比例して減衰する
(3)静電界は R3 に反比例して減衰する
の関係があると言うことが証明されている。この中で、電波として通信に利用できる部分は(1)の放射電磁界である。ちなみに、電波とは電界磁界波の略称である。すなわち、磁界と電界が交互に発生することで電波がアンテナから飛び出すのである。(2)と(3)は減衰が激しいため通信には利用できない。なお、電界と磁界の間には90度の位相差がある。(参考文献:古谷恒雄・ふるやつねお著「空中線系および電波伝搬」啓学出版 P.61-P.75)
1985年当時の筆者のアマチュア局の無線設備また、私は趣味のアマチュア無線で500Wの許可を受け運用している。しかし、500Wでの出力で送信機を運用する時間は年に数回、トータル1時間以内に収まっているため、筆者自身の人体への影響は無いと思っている。ただし、筆者以外のアマチュア無線家の設備状況、例えば、アンテナ給電点が低く、高出力の遮蔽(シールド)が不完全なリニアアンプの至近距離、狭い部屋での長時間運用であれば、500W程度の出力でも人体への影響は無いとは言えない。

即ち、長時間、強電界にさらされる訳であるから、全く問題はないと言えないことになる。 従って、HF(短波)帯ではアンテナの給電点は出来る限り高く、リニアアンプはシールド(鉄板)が完全なもので、リニアを使用中は出来るだけ離れた位置に居ること等に注意する必要がある。SSB(電話)とCW(電信)では影響も異なってくるが連続波の方が影響は強くなる。勿論、VHF(超短波)やSHF(極超短波)帯などマイクロ波帯に近くなればなるほど人体への影響が大きくなってくるものと思われる。

例えば、船舶で勤務していたとき、レーダー(10GHz)の出力(30kW/PEP)を調べる時、レーダーの電磁ホーンにネオン管を近づけ、その輝度で出力を判断した。緊急時はレーダーマストの上で電磁ホーンに手をかざし、手が熱くなる速さを感で判断し、その出力を測定したものである。勿論、家庭にある電子レンジの周波数もマイクロ波(2.4GHz帯)である。シールドが完全な物でも、レンジの使用中は出来るだけ「チン!!」と音がするまでは装置から離れていた方が無難である。電磁波による影響は、人体の構成部品と言っては語弊があるが「身長、目のサイズ、脳のサイズ」に近い波長の電磁波は要注意である。(共振作用を考慮)
アマチュア無線の周波数では400MHz帯、1.2GHz帯、2.4GHz、5.6GHz、10GHzなどが要注意。波長が人体の構成部品のサイズに近くなるため、共振が起こり影響が大きくなる。特に、マイクロ波は毛根や目など卵の白身の蛋白質のようなゼラチン状の物質が多い所に影響がでやすい。 携帯電話、PHS等のハンディ(携帯)機を使用する場合は、目や頭部の至近距離にアンテナが位置する状態で使用するため、最悪となる。携帯電話は800MHzで波長が約37p、4分の1波長で9.25pとなり、出力電力も500mWから5000mW程度(メーカーにより異なる)であるから、短時間使用は別として、5分以上となれば全く影響が無いとは言えないと考える。

アメリカでも能細胞が破壊され記憶力が減退する事もあると言われ、携帯電話の使用者がモトローラー社を告訴した事件もあった。この裁判結果は「因果関係無し」として処理されているものの問題を残している。 コードレス電話(300MHz/800MHz帯)の子機などは出力電力が10ミリワット(mW)程度ですからほとんど影響は無いが長時間となると注意が必要である。耳に当てて、口の前で使用する装置は目に近いし、頭髪の毛根、脳にも近いことから、その影響は無視できない。PHSも出力電力は数十ミリワットと少ないが波長が問題である。波長が約15.7pでその1/4λが3.9pともなると、眼球のサイズやもろもろの人体の部品のサイズに近くなるため、特に長時間運用に注意されたい。300MHz/800MHz/900MHz等の無線機も注意して使用しなければ影響がある。1Wくらいになると影響は大きくなってくる。

10Wともなるとよほど注意しないと危険になるから、アンテナからは離れていた方がベターである。トラックなどが50Wや100WのCB(市民無線:27MHz帯)やパーソナル無線(900MHz帯)を違法に運用していると聞くが、運転席が手の良い電子レンジのようなものとなる。 電磁波からの影響を少なくする為には、携帯機は出来るだけ、外部スピーカーマイクを使用し、頭部から装置を離して使用するようにしたいものである。「電磁波が人体に及ぼす影響」については、いろいろな研究がなされているが、人間を人体実験して得たデータは全く存在しない。しかし、影響は全く無いとは断言されてはいない。注意することにこしたことはないと思われる。

(筆者注釈: 科学者や研究者は、得られたデータを処理する場合、その結果について「絶対」とか「全く」と言う語句は使用しない。ただし、筆者は読者の注意を喚起する意味で不適切な使用であることを承知の上で用いている。)
セルラーの携帯電話です 最近の携帯電話

PHSの写真
です
ここをクリックするとPHSへ(NTTドコモのPHS)
携 帯 電 話 P H S
VDTに関して
 「電磁波が人体に及ぼす影響」については、無線機を含めパソコンなどの電子機器から輻射される電磁波についても研究されているところである。勿論、VDT(Video Display Terminal)すなわちパソコンのディスプレイやパソコン本体等からの不要な電磁波の放射についても研究がなされている。しかしながら、ここまでの電界強度では絶対大丈夫との結論がでていないのが現状である。
 VDT作業では1時間の作業で15分間休止するよう勧告されている。また、希望する女性(特に妊婦)には導電ゴム製のエプロンを貸与し、電磁波からの影響を防護した上で作業させるよう現場での指導がなされているが、なかなかまもられていないのが実態である。そう言う私も守っていないのであるが、今後十分注意してVDT作業を行いたいと思っている。
【1999年12月現在の見解】  (December,18th,1999)
 読者でVDTから放射される電磁波が人体に与える影響について専門に研究された方から、現在ではVDTから不要に輻射される電磁波については、人体に影響がないとの結論になっているとのメールがあった。下記のWebを参考にされたい。眼精疲労の方が問題であるとのことであった。(以下、一部を引用する)
VDTからの電磁波は気にするレベルではないとなっています。
1)「月刊アスキー」の1999年7月号をみて下さい。6頁ほどの特集記事でパソコンからの電磁波に関して書いてあります。

2)WHOのインターネットホーム(WHO International EMF Project)頁にアクセスしてみて下さい。
そこに掲載されている FACT Sheet 201(VDTからの電磁波に関するWHOの見解)を見て下さい。日本語でも読む事が出来ます。

3)日本電子工業振興協会・(社)電子情報技術産業協会(JEITA)のHPを開いて下さい。
VDT対策専門委員会の頁で、電子工業振興協会の電磁界に関する見解が紹介されています。 VDT対策専門委員会の主務は電磁波の問題で、人間工学に関しては日本電子工業振興協会からも離れた日本人間工学学会でやっており、直接的な 対応は行っていません。委員の中に人間工学の関係者もおりますので情報は入って来ています。
私の考え

 電磁波が人体に影響を与えることについては、パワーの大小、周波数帯、電磁波にさらされる時間の長短、期間でその影響が常に変化してくるため、不明なところが多いのが実状である。人体での正確なデータを取得することが困難なためもある。私は人体に特定の条件が揃えば影響があると言う立場で発言しているが、それならば影響のある証拠を見せろと言われても残念ながら証拠を持ってはいない。ただ、長い間、無線をやってきた経験とある程度の専門知識で自分なりに判断しているのである。幸い、新聞に関連する記事が掲載されたことで、筆者がこれまで考えて来たことがある程度裏付けされたとは思っている。
 従って、この記事を読んで人体に影響がないと思う方はそれなりに運用すれば良い訳である。いや、影響があるのではないかと思う方は十分注意して無線局/携帯局の運用をすれば良いと言う事になる。
今年(1998年3月)になって、ようやく郵政省も民間の規格である「電波防護標準規格」を国のレベルに引き上げることにした。これまで日本は国レベルの電磁波に関する防護指針を持っていなかったのである。そのために、携帯電話などの体に近接させて使用する通信装置が人体に与える影響に関しては、遅まきではあるが審議会をひらいたり、通信総合研究所で研究を開始したりしている。

 従って、国として電磁波が人体にどのような影響を与えるかの研究結果を国民に公表するまでには、まだまだ時間がかかるものと思っていたほうが無難である。人体に影響があるとも無いともはっきりわかっていない状況では、自分で電磁波に対する自己防衛をしていたほうが良いのではないかと考えている。水銀汚染による「水俣病」や薬害による「サリドマイド児」などの例でもわかるように、影響があるとわかった時点ではすでに遅いわけなのである。
 携帯電話などのモバイル機器が普及する前は、電波法に別に規定した免許のいらない通信装置(無線機)以外は、必ず「無線従事者免許証」を持った者が送信機を操作して電波(電磁波)を発射したものである。無線従事者の資格を持っていれば、それなり(資格レベルによって異なる)に電磁波に対する知識を得ることができ、電磁波からどのようにしたら身を守ることができるかを知ることができるし、同僚や同じ職業の仲間から電磁防護についてのアドバイスを受けることも可能なのである。

 しかしながら、規制の緩和が進み、資格が無くても操作できる通信装置が急激に一般に普及したため、電磁波に対する知識のない人まで電波を発射する通信装置を携帯するようになった。つまり、通信装置の取扱い方法について不慣れなままの状態にあるため、予期しない取扱い(長時間通話、車中での使用による感度低下そのための出力増加と車内反射、赤ちゃんを背負っての通話はアンテナが赤ちゃんの頭上にくること等)によって、これまで考えられなかったような影響がでてきているのではないかと考えている。

 勿論、資格を持った者でも「電波防護標準規格」があるわけであるから、人体への影響についての条件は一般の人と変わりがあるわけではありません。しかし、電磁波に関して専門知識があるのと無いのでは、もしも、電磁波が健康に与える影響が少なからずあったとわかっても違いはでてくると思うのである。知識があれば以下のような情報を処理して適切な使用方法と装置を選択することができるからである。
・携帯用の通信機器はできるだけ人体から離して使用 /50cm程度 (外部スピーカーマイク、ヘッドセットを使う)。
・通話時間をできる限り短くする。 (6分程度を目安とする) 健康に良い、通信料が安くなるメリットもある。
・送信電力の小さい装置 「10mW、0.1W(100mW)、0.5W(500mW)、1W(1000mW)、3Wなど」
・使用周波数が低い装置 「800MHz帯、900MHz帯、1.5GHz(1500MHz)帯、1.9GHz(1900MHz帯)」
★なお、PHS(Personal Handy Phone System:簡易型携帯電話)は1.9GHz(1900MHz)帯の10mWである。
★各メーカーは、携帯電話の仕様書(説明書)に必ず送信電力を記載していただきたい。NTTドコモ:800mW(アナログ)、DDI各社:600mW〜800mW、270mW(ディジタル)等。
(注)最近は、携帯電話の送信出力を1W=1000mW以下にするメーカーが多くなった。理由として「電波防護標準規格」が国のレベルに格上げされたことと、昔より格段に中継局(基地局)の数が増えたため、送信出力を小さくしても通話レベルが低下しなくなったことにある。(携帯基地局が少ない時代はどうであったのかな?を考えよう)(^^;)
以上の事項は自己防衛の手段としても利用できる。 すなわち、同一機種であっても送信電力の小さいもの、周波数の低いものを選択すれば良いのである。また、電磁波からの影響を避ける方法として、極端な例ではあるが携帯電話を「使用しない」と言う選択肢もある。
★携帯電話を使用する場合に心がけることとして、
  1. 通話をする場合は内蔵のアンテナを全部引き出してからにする。携帯電話の送信出力は受信レベルの強弱によって送信電力が大きくなったり、小さくなったりするためである(基地局からの指令により、その出力が制御される)。アンテナを全部伸ばしておくと受信感度があがり、送信レベルが低い値におさえられることが多い。消費電力が少なくなるため、電池の寿命が延びることにもつながる。(格好が悪いからというわけでアンテナを縮めたままで通話することはお勧めできない)
  2. 自動車の中や電車の中では携帯電話の到来電波が弱いため、送信レベルが高くなりやすい。自動車の中では携帯電話の電波が車内で乱反射することも考えられるから、車の中での通話はヘッドセット(イヤホンマイク:ハンズフリー通話装置)などを用い、アンテナをできるだけ窓側に近づけるか、通話をひかえるようにする。それが交通法規や車内のマナーに適合することにもなる。
  3. 長時間通話をしていると耳を中心に頭の半分が温まる経験をした方は多いと思う。これは電磁波の熱作用によるものである。電子レンジの原理と同じだと考えていただいてもよい。従って、通話料金と自分の健康を考えた場合、通話時間は短時間(約5〜6分以内)にした方が良い。長時間通話(私見であるが10分以上)をする必要がある場合は有線電話を使用すること。
  4. 赤ちゃん(幼児)を背中におんぶして携帯電話を使用した場合、アンテナ部分が赤ちゃんの頭上に近接することになりやすいため、長時間通話には注意を要する
  5. 携帯電話が待機状態(受信状態)であっても基地局からのコントロールで位置確認のための電波を通話時よりは弱いが自動的に発射することがある。胸やお尻のポケットに入れている場合は注意を要する。以前、電子メールで皮膚の弱い人から痒みをおぼえたり、炎症をおこしたとの知らせを受けたことがあった。
  6. 病院内、劇場、講演会場、教室及び車内、航空機などで携帯電話の使用を禁止している場所では電源を切ること。これは心得以前の問題でマナーとして当然のことである。
などがあげられる。携帯電話の使用心得として覚えておいても損はない。皆さん、携帯電話の使いすぎには注意しましょう。
衛星携帯電話
 今年中にでも衛星電話「イリジウム衛星」による携帯電話サービスが開始されることが予想される。地球のどこからでも自由に通信できるシステムであるが、衛星と携帯電話の間は1.6GHzの周波数を使用することになっている。周波数はよいとしても、その送信電力(1W程度)とどのような使用形態を取るのかに強い関心を持っている。
 最近の資料によると衛星携帯電話の送信電力は平均0.64Wであるとのことであった。通常の携帯電話とそんなに差がないが長時間使用は避けたほうが無難であろう。ヘッドセットのオプションもあるので利用すると良い。通話料金はドルで計算される。1$=105円として、国内通話では平均173円/1分、国外通話で336円/1分となり、6-10秒単位の課金となっている(10秒で約56円)。
 携帯用通信装置(携帯電話など)を使用する、使用しないの判断は、喫煙と同じで、タバコを吸うと「ガン」になるから吸わないと言う人と、それを承知でタバコを吸っている人もいる。タバコの箱には「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう。喫煙マナーをまもりましょう」と書かれている。私は一日に20本タバコを吸っている。これを携帯電話にたとえれば「携帯電話の使い過ぎに注意しましょう」となるのであろうか?。
 携帯電話やPHSなどに代表されるモバイル機器の電磁波の環境を考えるとき、我々が自動車を運転する場合は必ず「運転免許証」を必要とするが、運転免許を必要としない普通自動車が大量に発売されたような状況にあるのではないかと思っているところである。
【趣味のアマチュア無線では】
 最近(5年以内)、青森市内や弘前市内でアマチュア無線の趣味仲間の葬式があった。その時に聞いた話を皆さんに伝えてこの掲載を終わりにしたい。無線仲間の内、5人が偶然にも全員が(癌)で亡くなったのである。亡くなられた方のは下記のいずれかの項目に該当していたと言う。
.短波帯(3.5/7/10/14/18/21/24/28MHz帯)で高出力の無線装置(500W以上)を使用してい
  た。また、VHF帯(50/144MHz帯)で50W以上の電力を使用していた。
.それも3年以上、28MHz帯以下の周波数、あるいは50MHz帯の周波数で。
.一日、3時間以上の連続運用をしていた。
.アンテナの給電点が低く、無線室内の電界強度が強かった。無線装置を自作することが多かった。
.無線室が狭く、高出力の電力増幅器(リニアアンプ)の至近距離に居た。リニアアンプのシールドケー
  スを撤去した状態で運用することが多かった。
 私の住む弘前市でも無線仲間がガンで亡くなった。マイクロ波実験の愛好者で1200MHz専門の局が、5年前に若くして亡くなったのである。そして、昨年(1999年6月)は遠距離(DX)通信の愛好家、12月には青森市の電信愛好家が、いずれもガンで亡くなってしまった。至近距離で強い電磁波を特定の周波数で長時間浴びたことが原因となったのかどうかは不明である。しかし、気になる現象ではある。

 電波防護標準規格が制定されて業務用の無線装置は規格に合った製品を作っているが、アマチュア無線はその性格上(趣味・技術的研究)、電波防護標準規格に沿った装置の自作、無線装置の運用は出来にくいのである。日本アマチュア無線連盟は、郵政省の規格をそのままアマチュア無線にも適用しているが、もっと、「電磁波を安全に取り扱う方法」について周知徹底を図るべきではないかと思っている。そのためには、アマチュア無線独自の「ガイドライン」を早急に作成する必要があるのではないのだろうか。現状では野放し状態となっていると言っても過言ではない。
まとめ
 要するに、便利な物には必ず良い面と悪い面がある。例えば、自動車は交通事故の原因だから乗ってはいけないと言われても「利便性」を考えると社会生活に必要不可欠な文明の利器であるから、車を凶器だと断定はできないと同じことで、便利な物ほど「両刃の剣」的な要素があることになる。したがって、人間がいかに文明の利器と賢く付きあうかにあると思う。(リスクをどこまで許容するかにある。)

 繰り返すが、電波を利用した通信装置も「使用時間をできるだけ短く」・「できるだけ人体から離して」使用すれば心配するほど人体の健康には影響が無いと思っているところである。
ちなみに、私は、携帯電話ではなくPHSを愛用している(別に、お金が惜しい訳ではない)。
屋上の鉄塔とワイヤアンテナ、パラボラアンテナ群電磁波だけが健康に悪いのか?】
このごろ、固定して電波を発射している設備(業務用無線局の基地局、放送局、アマチュア無線局、中継局、PHS中継局など)から放射される電磁波が健康に与える影響はないのだろうかとの質問(電子メール等)が寄せられることが多くなっている。私の考えでは、ほとんどの場合人体の健康に影響を与えることはないと判断している。すなわち、固定した無線局は安全上、電波法でアンテナの設置基準が決まっているため、直接人間が手で触れることができる高さ(位置)にアンテナを設置しないからである。

大抵の場合、アンテナは高い鉄塔(タワー)の上か、ポール(電柱)の上またはビルの屋上にアンテナを取付けている。中継局にいたっては高い山の頂上に設置することがほとんどである。そのため、距離的に人間が生活している場所から相当離れていることになる。したがって、放射する電波の電界の強度(エネルギー)が人が生活して居る位置では相当弱(電波は距離の2乗に反比例して減衰する)くなっていることになる。よって、人体への影響は全く無視できる範囲になると思われる。これまで私が述べてきたのは、「至近距離」での使用が問題となり、人体の健康に影響を与えるのではないかと言うことにあった。

私たちが生活している地域には、カーナビゲーションの電波、ポケットベルの電波、TV放送の電波、ラジオ(FM、中波、短波)放送の電波、海岸局、衛星放送の電波、携帯電話/自動車電話、業務用無線、警察・消防無線の電波、固定されたアマチュア無線局の電波など、目には見えないが、情報化社会を支えるための電波(電磁波)が到来している。

 これら固定された無線設備から放射される電波は、社会の安全、犯罪の防止、災害の防止や復旧、経済活動、文化の振興、非常通信や防衛等のための情報伝達の手段として必要不可欠なものなのである。これらの電波が健康に悪影響があるということはないと言ってよい。結論として、アンテナの至近距離で電波の出る装置を長時間使用しない限り、人体には影響がないと思っていただきたい。まして、アンテナから10mも離れているのであれば論外と思ってよい。
★最後になるが、電磁波のみを単独に取り上げ「電磁波は諸悪の根源」というような取り扱い方には賛成できない。電磁波以外にも人体の健康に悪影響を与える物質が多く見られるからである。例えば、ダイオキシン・環境ホルモン・遺伝子組替え食品・残留農薬・食品添加物・水や空気の汚染・産業廃棄物・酸性雨等々がある。また、人間関係などによるストレスなども健康に大きな影響をあたえると聞く。その他にフロンガスによるオゾン層の破壊も挙げられよう。最近では中国製の「ダイエット用健康食品」の使用による肝臓障害で死者が出た。「薬品:風邪薬や睡眠薬」なども用法を誤ると「」になり、人体の健康に甚大な影響を与えるのである。

従って、今の技術では健康を害した場合でも「これが電磁波による影響」であると特定することができる環境には無いし、出来たとしても相当の時間を要することになる。電磁波も一定の条件が揃えば何らかの影響はあることは前述した。しかし、電磁波以外の物質を無視して「電磁波」のみが人体の健康に悪影響を与えるかのような取り扱い方には賛成できないのである。繰り返すが「文明の利器」には必ずリスクが伴うのである。そのリスクにどのように付き合っていくかが人間の知恵なのである。
極言すれば、
●交通事故を少なくするために「全ての自家用車を止め、公共交通機関のみにする」。
(自動車事故にあえば確実に死か怪我となるが、基準値の電磁波を浴びたとしてもそうはならない)

●電磁波は人の健康に悪影響があるから、全ての電磁波の発射を止める。
(携帯電話の電波もTVやラジオの電波も止める。公共機関のみに電波の発射を許可する)

●高圧線の下に住むと健康に悪影響があるから、送電を停止する。
(送電線を人が住んでいない場所に移動する。または、原子力発電を僻地に作らず、東京湾や大阪湾に集中させることで送電線の距離を短くする)

等の対策を取れば良いことになる。国民の総意がこれで良いと言うのであれば可能となるであろう。

【電磁波関連リンク】

1.総務省の 独立行政法人 NICT 情報通信研究機構 では、電磁波が人体に与える影響について
  専門に研究を行っている。最新情報を詳しく知りたい方は情報通信研究機構のホームページに
  ある「電磁波計測研究所」の中の「電磁環境研究室」を利用すると良い。

2.(社)電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)の「くらしの中の電波」の
  ページで、携帯電話などの電磁波について解説しているので参考にすると良い。

3.電磁波問題市民研究会 電磁波に関する問題点を把握し、市民の立場から「慎重なる回避」、すなわち
  電磁波問題に関して「予防原則」が確立するよう社会に提起する取り組みを行なっている。

4.WHO International EMF Project(日本語版) 電磁波に関するWHOの資料を見ることが出来ます。

5.(社)電子情報技術産業協会(JEITA) 日本電子工業振興協会と日本電子機械工業会とが合併。

6. 厚生労働省の独立行政法人 産業医学総合研究所の研究情報、電磁場の生体影響に関する研究
(注)独立行政法人産業安全研究所 と 独立行政法人産業医学総合研究所は平成18年4月1日をもって
  統合し、「独立行政法人 労働安全衛生総合研究所」となってスタートしました。

7.電波環境協議会 (EMCC:Electromagnetic Compatibility Conference Japan) 健全な高度情報社会
  の発展を目指し、不要電波問題の総合的対策を推進している。

8.国立研究開発法人 国立環境研究所 環境科学解説【電磁波の人体への影響】、今も未来も人びとが
  健やかに暮らせる環境をまもりはぐくむための研究を行っている。

9.電磁界情報センター(JEIC:Japan EMF Information Center) 電磁界(電磁波)に対して抱く不安や
  疑問に対して正確な情報を提供する事により、多くの方々に電磁界(電磁波)に対する理解を深めて
  いただく事を目的としている。
*IRIDIUM/Iridiumおよびイリジウムの名称はNIPPON IRIDIUM CORPORATIONの登録商標である。
*その他、文中で使用した、商品名、社名はそれぞれの会社の商標または登録商標である。
Since April,15th,1998. & Last Updated: March,4,2016.
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